R.I.P ジャック・ヒギンズ2022年04月12日

出会ったのは高校を卒業するぐらいの頃だったかな。
テレビで放映された映画「鷲は舞い降りた」だった。
敵の敵は味方、英国を敵視するIRAの戦士が、英国の敵ナチスドイツと手を組んでチャーチルを誘拐する物語。
「俺はあんたと同じイギリス人だが、違う側の人間なのだよ」最初は意味が分からなかったけど。

その後は既刊を読破し、新刊が翻訳されるのを待ちわびて、
最近はやりの言葉で言えば、「ちむどんどん」しながら読んでいったわけだ。
おかげで、だいぶ偏った近代史の知識が付いてしまったかな。
マルビナス諸島がどこかわかる人は少ないだろう。

たぶん平成19年に発行された「報復の鉄路」が日本語訳された最後の本ではないかな。
今更新刊が出るとは思っていなかったけれども、
今やこのほとんどの作品が廃刊になっているのは寂しいものだ。
もう一回、すべてを最初から読み直してみたいのだが、
昭和の時代の文庫本は字が小さすぎる。


R.I.P. トム・クランシー2013年10月03日

R.I.P. トム・クランシー
朝、窓を開けるとキンモクセイの香り。
いよいよ秋の始まりだなと思いながら広げた朝刊に・・・

未だ66歳、あまりにも早すぎます。
「近未来軍事小説」という分野の先駆者でした。
単に戦場の描写だけではなく、背景にある政治や社会環境を緻密に記述して、読みごたえのある作品を書いています。
そのため、「ランボー」のようなヒーローものの軍事映画を、子供じみた駄作にしてしまいました。
また、メインストリームとなる「ジャック・ライアン」シリーズ以外にも、北朝鮮のミサイルを扱ったものや、インターネット犯罪を扱ったものなど、時代の一歩先を行く題材の作品も書いています。

デビュー作の「レッド・オクトーバーを追え」に登場する無音潜水艦は架空のものですが、他に登場する現代の兵器の技術の高さは知りませんでした。
「いま、そこにある危機」と訳されたタイトルは多数の政治家のコメントとして使われています。
ジェット旅客機による自爆攻撃を1994年の作品「日米開戦」で記述していました。
代表作の主人公である「ジャック・ライアン」を、アメリカ大統領選挙で書く人がいるそうです。

今後、新たな大作を期待していたのに、本当に残念です。

彼のオートバイ、彼女の島2013年09月01日

彼のオートバイ、彼女の島
今書店に並んでいるオートバイ雑誌「MOTO NAVI」。
何で今さら?の片岡義男の特集記事が載っています。
もう30年以上前、次々に発刊される文庫本を夢中になって読んでいた。
その中でも「彼のオートバイ、彼女の島」は別格だった。
その後に映画化までされたので、世間でもブームとなっていたのだと思う。
この小説の主人公はカワサキW3を駆るプレスライダ。
この小説の影響を受けて、私も大学の後半2年間は東京新聞でプレスライダをした。
世界GPはキング・ケニーとファースト・フレディの一騎打ち。
オートバイ用品は上野で買う。
そんな時代のお話です。

読まずに死ねるか!2011年12月31日

読まずに死ねるか!
大晦日の朝刊、社会面で目に飛び込んできたのが内藤陳さんの訃報。
残念ながら、「ハードボイルドだど」のセリフを聞いた覚えもなく、
「トリオ・ザ・パンチ」の舞台も見たことはなく、
新宿の「深夜+1」へも行ったことはありません。
でも、著書「読まずに死ねるか!」は面白く読ませてもらいました。
ここで紹介されている本は、それは決して日本ではベストセラーにはならない本ですが、
読めばわかります。
が、現在そのほとんどが廃刊となり書店で手に入れることができなくなりました。
とても残念なことです。

訃報 ジェイムズ・P・ホーガン2010年07月14日

SF作家、ジェイムス・P・ホーガン氏の訃報が届きました。
ファンタジーではない、科学理論を全面に出したハードSFと呼ばれる小説を書いていました。
新聞には"1977年のデビュー作「星を継ぐもの」が日本でベストセラーになった"と記載されていますが、当時の状況を私は知りません。
SFといえば、アーサー・C・クラークの Space Odyssey シリーズは映画の影響もあって全て読んでいますが、その他は、ロバート・A・ハインラインやアイザック・アシモフといった著名な作家であっても手を伸ばすことはありませんでした。
「星を継ぐもの」を読んだのは5年ほど前、たまたま読む本を探して書店の文庫コーナを見ていた時に平積みで推薦書となっていて、なぜか手に取ってしまいました。
「星を継ぐもの」は「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」と続く3部作の始まりとなる小説で、
"月の洞窟で発見された宇宙服を着たミイラは死後5万年を経過していた"というエピソードから地球や人類の起源を探していく超大作です。
象より巨大な恐竜が地球の重力下で走りまわれた理由は?
人間の寿命が100年に満たない理由は?
人間の文明が18世紀以降急激に進化した理由は?
ジェイムス・P・ホーガン独特の科学理論が展開されます。

とはいえ、SFは読んでいて疲れます。
「50億光年離れた星から地球を見たら、そこには地球は存在しない」ことは理屈で説明がつくから理解できるのですが、
現実には存在しない・あり得ないもの、例えば宇宙船や異星人・未来の優れた構造物などは、どんなに細かく描写されても見えてきません。
頭の体操、想像力の回復には最適かもしれません。